関西テレビ放送株式会社様 │ ITGマーケティング株式会社

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関西テレビ放送株式会社様

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番組収録とほぼリアルタイムに映像データを書き込めるPortable SSD「T5」により、テープレスのノンリニア編集環境を構築できました
関西テレビ放送株式会社
編成局 知財推進部 部次長(アーカイブ推進)兼 放送技術局 ITソリューション部 岩佐 周悟氏
制作技術局 制作技術センター 担当部長(設備) 松岡泰助氏
制作技術局 制作技術センター 主事 堀田 秀治氏

1958年に創業し同年11月開局、昨年60周年を迎えた関西テレビ放送株式会社様は、特定地上基幹放送事業者、地上一般放送事業者として事業を展開。地元関西ではカンテレの愛称で親しまれています。特色は積極的に自社制作を行っていること。エリアに密着した番組に加え、全国の視聴者も楽しめる番組制作にも力を入れています。放送事業を主体としつつ、近年は配信事業も増加。とくに4K、8Kの高画質映像制作は業界のパイオニアとして、多くのネット配信サービスに提供しています。

変化の行く先をしっかりと見据えつつ、新たな挑戦を続ける関西テレビ放送株式会社様が導入したのはサムスンのPortable SSD「T5」。今回は編成局 知財推進部 部次長(アーカイブ推進)兼 放送技術局 ITソリューション部 岩佐 周悟氏(写真・中央)、制作技術局 制作技術センター 担当部長(設備) 松岡 泰助氏(写真・左)、制作技術局 制作技術センター 主事 堀田 秀治氏(写真・右)に、「T5」を導入するに至った背景と効果について詳しく伺いました。


-サムスンのPortable SSD「T5」は、どのような目的で導入したのでしょうか。

収録した番組の映像データを、外部の編集プロダクションに持ち運んでノンリニア編集する際のストレージとして合計100台導入しました。

-「T5」が必要となった背景、課題をお聞かせください。

パソコンで映像データを自由に編集できるノンリニア編集の普及が背景にあります。これまで番組の収録はテープで行い、テープの映像を機器に取り込んでデータ化してからノンリニア編集を行っていました。このテープのデータ化は昔のダビングと同じ、収録時間と同等の時間がかかります。例えば、2時間のバラエティ番組の場合、スイッチングの映像、MCだけの映像、ゲストだけの映像など、約5本前後のテープが存在。機器が1台の場合は、1本2時間のデータ化換算で約10時間を要します。明らかにその時間は作業を行うADにとって大きなストレスです。画質の劣化を防ぐため、高速ダビングもできませんから、効率的な業務は望めません。

とはいえ、一度テープに撮った映像のデータ化ですから劣化は免れません。HDから今後は4K、8Kと高画質化が進むなか、映像のクオリティを下げることは避けたいところ。さらに、テープは相次いで生産が終了し、2023年3月にはハーフインチVTRの保守も終わってしまいます。どちらにしても、テープは長く使い続けることができないのです。

そこで浮上してきたのが、最初から番組をデータ形式で収録し、ノンリニア編集機器にダイレクトに取り込む仕組み。そうすれば、テープは不要になります。

2011年9月には映像のデータ化、テープレスを推進するワーキンググループが発足。ベストな形を模索するなか、収録した映像をダイレクトにスタジオのサーバーに保存し、それを収録制御サーバーと社内編集用サーバーに転送する図のようなシステムを構築しました。このときクローズアップされた課題が、社外の編集プロダクションを利用する場合に持ち運ぶ媒体です。

●テープレスのシステム図

-持ち運ぶ媒体の課題とはどういったことでしょうか。

編集を行う場所は、社内と社外の編集プロダクションの2つがあります。すべて社内で行えれば問題はありませんが、実際のところ、キャパシティなどの問題によって約半分は社外の編集プロダクションの手を借りています。例えば、バラエティ番組ではスタジオ収録と番組で流すVTR素材があるため、これを全部一緒に社内で編集するのは、人的にも時間的にも難しいと言えます。

課題となった社外の編集プロダクションに持っていく媒体は、1TB(2時間番組に必要なデータ容量)ほどの容量があって、手軽に持ち運べる携帯性が必要でした。この部分をクリアしないと、本当の意味でのテープレスは実現できません。

-媒体に求めた要件をお聞かせください。

1TB前後の大容量ストレージを対象に以下の要件を求めました。

高速性
本システムはリアルタイムにストレージへ書き込めるのがベスト。1日に番組を何本も収録するわけですから、番組の合間には書き込みが終わっていなければ実用的とは言えません。

高画質保存
HDはもちろん、4K、8Kの高画質映像でも画質を落とすことなく保存できるストレージを求めました。

セキュリティ
ストレージに保存されているのは編集前の映像です。放送前の映像ですから、取り扱いには厳重に注意しなければなりません。再生機器が市場から姿を消しつつあるテープとは違い、データはパソコンがあれば簡単に視聴できてしまいます。万が一、紛失した場合に備え、強固なセキュリティが必須だと考えていました。

コスト
1~2台を導入するわけではありません。制作現場の編集という業務の中心で利用するものですから、かなりの台数を導入します。大きな金額になりますから、なるべく安価に導入したいと考えていました。

-ストレージの選定についてお聞かせください。

最初に検討したのがHDDです。放送業界で信頼の高いブランドのデモ機を借りて実際にテストを行って検証しました。ところがHDDは、容量の半分以上に達すると極端に速度が落ちることが判明。毎日ではありませんが、半年ほどかけてテストを行いましたので、信憑性の高い結果と言えました。また、セキュリティについて、これといって対策がなされていない点も不安がありました。

次にプロフェッショナルディスクの案が検討されました。しかし、プロフェッショナルディスクは収録時の画質を高く設定できません。低画質で編集すると画質の低下を招きますから、プロフェッショナルディスクの案は早々に消えました。

スピードやセキュリティの懸念は拭えないものの、コスト面をクリアしていたこともあって「スピードは我慢」「セキュリティ機能は今後の対応に期待」するとして、ほぼHDD導入に傾きかけていました。そんな矢先、ある販社から絶妙のタイミングで比較的安価なSSD「T5」の提案を受けました。

-「T5」に対してもテストを行ったのでしょうか。

何とか手が届く価格が提示されましたので、すぐにデモ機をお借りしてテストを実施しました。すると、スピードの低下もなく、最後までほぼリアルタイムに書き込めることが分かりました。最後までスムーズだったため、限界が分からないほどでした。

セキュリティの面では、利用者に負担を強いない手軽でシンプルな使い勝手のセキュリティツール「Samsung Portable SSD Software」が付属。技術に疎いスタッフでも扱えそうでした。唯一の懸念は、「T5」が非常に小型・軽量、コンパクトにできていること。コンパクトなこと自体は、持ち運びを考えると歓迎すべき点なのですが、撮影の現場はいつも慌ただしいため、紛失という不安がつきまといます。

-紛失の不安はどのようにして解消されたのでしょうか。

紛失を防止するため、「T5」を入れて持ち運ぶ専用ケース付きのパッケージで納品できるか相談しました。すると販売元であるITGマーケティングから、最適な専用ケースを提案していただきました。さらに、保存されている内容がすぐに分かるように、専用ケース内にメモ用紙を入れる形でパッケージ化がまとまりました。実は編集プロダクションによっては専用ケースが必須というところもあるので、ITGマーケティングのこうした素早い対応には感謝しています。

-「T5」導入の進捗状況と管理方法についてお聞かせください。

2018年9月に1TBモデルの「T5」を合計100台納品していただきました。安価になってきたとはいえ、「T5」は高価な備品ですから社内では専用の管理ソフトとバーコードで管理。現在の在庫と持ち出し先、持ち出しスタッフ、時間などを管理することで、万が一の紛失に対してもスピーディーに対応できるようにしています。

-「T5」を導入してから、どのような効果が得られましたか。

具体的には以下のような効果が得られています。

テープレスの実現
ワーキンググループ発足以来の悲願だったテープレスを、ついに実現することができました。収録からノンリニア編集まで、すべてデータでやり取りが行えます。テープのデータ化に要していた時間は一切なくなりました。

働き方改革に貢献
テープのデータ化の実作業は若手のADが担当していました。収録が終わってから、仮眠をとりつつ2時間ごとにテープチェンジを繰り返すという作業は、体力的負担が少なくなかったと思います。それが今は一切ありませんから、ADは大きな恩恵を受けていると思います。実際、本来やるべき業務に集中することができ、早く帰れるようにもなったと聞いています。まさに、働き方改革に貢献していると言えるのではないでしょうか。

保管スペースの削減
テープの場合、1番組あたり少なくても5本分のテープが必要になりますから、管理が煩雑になりがちです。さらに、その分の保管スペースも必要になります。定期的な処分を忘れてしまうと、テープでスペースが埋まってしまうことも珍しくありませんでした。その点「T5」はテープと比べたら圧倒的に管理が楽。番組がほぼ1台の「T5」に収まりますので保管スペースはコンパクトになりました。

コスト削減
テープは何度か再利用しますが物理的な限界もあって、実際のところ、10~15回ほど使ったら廃棄となります。しかし「T5」は、保証期間がある3年間、何度でも繰り返し使うことができます。現実的には3年以上使えるのではないかと期待もしています。このランニングコストを考えると、長期的には「T5」がお得だと試算しています。

ほか、テープのデータ化の実作業にADが関われないときは、外部のデータ化専門業者で対応することがありました。「T5」導入後は専門業者への依頼の必要がありませんから、制作面でもコストカットができています。

-「T5」の先輩ユーザーとして、SSDの導入を考えている放送業界に対して何かアドバイスがあればお願いします。

ノンリニア編集機器の機種、バージョンまで細かくチェックし、事前に自分たちの環境を知っておくことが大事。そして、必ずテストを行うことです。正直、HDDで対応できると思っていたところもあるので、テストを行っておいて本当に良かったと思っています。

多くの企業は失敗したくないはずです。当社もそうですが、その失敗しないための選択が「T5」でした。今回、当社の試みは良い指標になるのではないでしょうか。ご参考にしていただければ幸いです。

-製品やITGマーケティングに対する今後の期待をお願いします。

「T5」の保証期間は3年で、もちろん、今ところトラブル等は一切ありません。ただ、実際のところ、どこまで使えるのかは未知数です。当社とすれば、とにかく製品の信頼性の向上に努めてほしいと願っています。

今後は4K、8Kでの編集が日常的になる日も近いと思っています。そうなるとThunderbolt 3対応など高速なインターフェースは必須でしょう。インターフェースの普及については、ITGマーケティングだけで何かが変わるものではないと承知していますが、「T5」を利用するユーザーとしては期待しています。今後も変わらない支援をお願いします。


お客様プロフィール

  • 社名 : 関西テレビ放送株式会社

  • 設立 : 1958年2月

  • 所在地 : 〒530-8408 大阪市北区扇町2丁目1番7号

  • 資本金 : 5億円

  • 従業員 : 593名(2019年4月1日現在)

  • 事業内容 : 放送法に基づくテレビジョン基幹放送

  • URL : https://www.ktv.jp/


※記載されている会社名、製品名等は一般に各社の登録商標または商標です。
※事例に記載された社名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。
(2019年6月取材)