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株式会社AIメディカルサービス様

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内視鏡AIのディープラーニングに必須の非圧縮・無劣化の動画を保存・運搬するには、大容量かつ信頼性の高い「870 QVO」が欠かせません
株式会社AIメディカルサービス
製品開発・製品部門 部門長 高橋 英成氏
製品開発・製品部門 製造フィールドサービスグループ 藤原 拓磨氏

株式会社AIメディカルサービス様は、口から肛門に至る消化管系のがんにおいて、2割程度の早期がんが見逃されている現状をAI(人工知能)で改善すべく、内視鏡AIの開発に取り組んでいる会社です。膨大な数の静止画を一枚一枚精査してディープラーニング(深層学習)させ、専門医の平均を上回る判別精度に到達。臨床現場で使うにはさらなる改善が必要とのことですが、同社が開発した内視鏡AIが世界の内視鏡医療に貢献するのは間近かもしれません。

 そんな株式会社AIメディカルサービス様は、内視鏡検査で撮影した動画の保存と運搬用にサムスンのSATA SSD870 QVO」を用いています。「870 QVO」が医療の現場でどのように利用されているのか、またどのような効果を発揮しているのかなどについて、製品開発・製品部門 部門長 高橋 英成氏、製品開発・製品部門 製造フィールドサービスグループ 藤原 拓磨氏にお話を伺いました。


-御社で取り組まれている事業についてお聞かせください。

医師として内視鏡検査に長年携わってきた代表の多田が2017年に創業した当社は、消化管のがんの確定診断において2割程度の早期がんが見逃されている「がんの見逃し」という課題を解決するため、内視鏡AIの開発に取り組んでいます。

 内視鏡検査において、日本は世界トップクラスの技術を有していますが、口から食道・胃・大腸などを経て肛門に至る消化管のがんは全がん死亡者の約3割を占め、もっとも死亡者数の多いがんとなっています。その理由は、どうしても人の目で見るため「がんの見逃し」が後を絶たないからです。そもそも胃や腸の内壁のなかから小さな病変を見つける作業は、経験10年以上の専門医でも簡単ではありません。内視鏡を操作して小さな病変を捉える作業も、高度なテクニックが求められます。

さらに、市民検診においては検査の質を担保するために、専門医が検査結果のダブルチェックを行う運用になっていますが、ダブルチェックを担当する医師は病院・クリニックの外来が終了した後に1日数千枚もの読影に携わり、大きな負荷に疲弊しているのが現状です。疲労が蓄積していけば、どうしても見逃しのリスクは高まっていきます。こうした内視鏡検査の質をどうやって向上させていくか、そこで当社がたどり着いたのがAIというわけです。スキルや疲労に左右されない、プロフェッショナルな力量を持った内視鏡AIが消化管のがんの確定診断をサポートするようになれば、「がんの見逃し」は大きく軽減できるはずです。「世界の患者を救う ~内視鏡AIでがん見逃しゼロへ~」をミッションに内視鏡AIの開発に取り組み始め、ようやく実用化が見えてきました。

-そもそも内視鏡検査とは、どういった検査なのでしょうか。

デジタルカメラの小さなレンズが付いたワイヤーを口や鼻または肛門から挿入し、消化器官の内壁を録画・撮影していく内視鏡という装置を使った検査となります。1症例(患者)あたり上部(胃カメラ)は平均510分、下部(大腸カメラ)は平均1520分ほどの動画を撮影しつつ、気になった箇所や医療保険制度のエビデンスとして必要な画像を撮影していきます。

内視鏡検査における内視鏡AIについて、もう少し詳しくお聞かせください。

内視鏡検査で撮影した動画から静止画を切り出してAIに学習させ、その学習データをもとに確定診断をサポ-トしていくのが内視鏡AIの役割となります。内視鏡AIを開発するうえで重要となるのは、とにかく学習させること。診断の精度を高め有用性を実証するためには、正しい条件、さまざまなバリエーションで撮影された動画の静止画を数千~数万の単位で読み込ませ、学習させることが何よりも重要です。

 ただし、この学習は困難を極めます。そもそも平面な静止画は距離感がないうえに、胃や大腸のなかは全部肌色。色のコントラストがまったくない世界から、病変かもしれないシミを見つけることは非常に困難です。さらに、真っ暗な体のなかをLEDの光源で照らす必要があるのですが、同時に黒い影が映り込んでしまいます。人間の目ならその影を立体的に捉えて影と認識できますが、静止画では色のマトリックスでしかないため、病変と誤認識することが多々あります。つまり、影なのか、病変なのかを区別させるためには、正面・左右・上下、斜めなど、あらゆる方向・角度から撮影した膨大な量の画像が欠かせません。

 幸いにも当社の代表である多田は内視鏡専門医として、医療機関・医療従事者とのネットワークがあります。これにより、国内外100以上の医療機関と共同研究という形で内視鏡検査の症例動画をご提供いただいております。おかげさまで製品のひとつは医療機器の製造販売承認を得ることができ、さらに有効性を示すための性能試験を行っている真っ最中の製品も順調に開発が進んでいます。

-内視鏡AIでストレージが必要と伺っていますが、どのようにストレージを利用されているのでしょうか。

内視鏡検査で撮影した動画の保存と運搬用にストレージを利用しています。内視鏡検査の動画は、ワークステーションを経由し匿名処理(個人情報保護の観点から個人情報を削除する処理)を施してから、リム―バブルケース内のストレージに保存する仕組みになっています。現在、このストレージをサムスンのSATA SSD870 QVO8TBモデルで運用しています。「870 QVO」にデータが一杯になったところで回収し、当社で契約している専用のデータセンターで保管。その後、「870 QVO」のフォーマットを行って医療機関に戻すというサイクルで運用しています。

SATA SSD 870 QVO

-なぜリム―バブルケースを用いているのでしょうか。

ストレージは当社に運搬しなければなりませんから、簡単に取り外しできる仕組みが必要になります。つまり、内蔵型はNGです。さらに、ストレージを入れ替えるのは、IT機器の取り扱いに慣れているとはいえない現場の専門医、もしくはCROContract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)となるため、なるべく負荷のない仕組みが必要です。そこで、取り外しが容易なリムーバブルケースが適切という判断をしました。

なぜ8TBもの大容量が必要なのでしょうか。

例えば、研究開発用に1症例あたり約40分の動画を撮影した場合、120GB以上の非常に大きなデータとなります。圧縮動画のファイル形式で保存すればデータは小さくできますが、圧縮によって発生するノイズはAIとって命取り。ノイズが入った静止画は誤認識の原因となりかねません。このため、内視鏡AIの開発には圧縮されていない無劣化のRAWデータが必須。したがって、保存先は大容量のストレージが必要となります。ちなみに、8TBのストレージは約1カ月で一杯になります。ストレージの交換頻度も約1カ月に1回という計算です。8TB以下のストレージを使用した場合、1カ月に数回交換しなければなりませんから、現場の専門医、CROへの負荷を考えると現実的ではありません。

-「870 QVO」を利用し始めた経緯をお聞かせください。

当初はHDDで運用していましたが、HDDでのデータ運搬は磁気ディスクに書き込む機械構造であるため、落下等の衝撃によるデータ破損・消失等のリスクが大きすぎると感じていました。そこで、高い耐衝撃性を誇るSSDに注目するようになりました。

また、 HDDはスピードや信頼性という点でも課題がありました。前述した匿名処理を行ってストレージに保存する作業は、日中に行うと医療行為に影響が出てしまうため、夜間のバッチ処理で自動的に行うようにしていましたが、HDDの場合は朝方ギリギリまでかかることが珍しくありません。当社のコールセンターに「止まっているようです」といったメールが入っていることもありました。こうしたスピードや信頼性の課題を解消すべく、SSDに注目した次第です。

-なぜ「870 QVO」を選定されたのでしょうか。

SSDに切り替える際、リムーバブルケースのSATA規格に対応するSSDという条件で探しました。ところが、8TBの大容量で信頼性の高いSSDとなるとほとんど見つかりません。唯一、該当したのが「870 QVO」でした。「870 QVO」がなければ、HDDのまま運用し続けるか、それとも何か別の施策を考える必要がありましたから、当社としては非常に有り難い気持ちで一杯です。

-「870 QVO」は、当初からITGマーケティングで購入されたのでしょうか。

当初はHDDからSSDへの切り替えというタイミングで、少しずつ調達できれば問題がなかったため、ビジネス向けのECサイトから購入していました。少しずつ段階的に増やしながら、1年ぐらいの期間で100台ほどのSSD 870 QVOを購入したと思います。

 その後、新たに大腸の内視鏡AIのプロジェクトがスタート。それにともない、急遽100台の「870 QVO」(8TB)が必要になりました。一度に100台となると、さすがにECサイトから調達することは難しく、新たな調達先を見つけなければなりませんでした。さらに、今後も内視鏡AIは解析対象器官の拡大や機能拡張、精度向上に向けた開発を加速させていく予定ですから、まとまった数を安定して調達できる取引先は必要です。そうして行き着いたのがITGマーケティングでした。さすが、日本サムスン販売特約店ということで、100台の「870 QVO」はすぐに納品していただきました。これを機に、「870 QVO」の調達はITGマーケティングに一本化しました。

-「870 QVO」のほか、ITGマーケティングからUSBメモリの「FIT Plus256GBも購入されています。「FIT Plus256GBの用途をお聞かせください。

内視鏡AI用のデータを見たいという現場の医師の要望に対応するためです。実は無劣化のRAWデータは、一般的なWindowsのプレーヤーでは視聴することができません。そこで、匿名処理後にMP4形式に変換してUSBメモリに保存する仕組みを構築。USBメモリのMP4ファイルを閲覧すれば、どういった検査を行ったか分かるようにしました。なお、この仕組みも自動のため、現場に負荷をかけることはありません。

USBメモリFIT Plus

-「870 QVO」を導入した効果は得られていますか。

機能的な効果については以下の通りです。

スピードアップに貢献

夜間のバッチ処理が開院の時間までかかるという話は聞こえなくなりました。止まることもありません。実際、ログを見ても夜間の時間帯ですべての処理が終わっています。SSDに切り替わったタイミングでアプリケーションの処理を改修していることもありますが、「870 QVO」自体がスピードアップに貢献しているのは間違いありません。

破損リスクが低減した安心感

HDDは振動に弱いため、運搬時は振動を与えない保護の仕組みや資材の補強で対応していましたが、当社に到着後もデータを確認するまでは安心できませんでした。その点、SSDは振動でデータが消えることはありませんから安心感があります。もちろん、「870 QVO」での運用を開始してから一度も「壊れた」「データが消えてしまった」という話はありません。

今後の展開をお聞かせください。

近々に取り組みたいのは、ワークステーションの統合です。現在は録画したデータが混在しないように、胃と大腸それぞれにワークステーションとリムーバブルケースを用意している状況。余計なスペースの占有で医療機関の方々にご迷惑をおかけしており、また、2つのシステムの使い分けも煩雑です。今後はシンプルに1台にまとめ、用途に応じて書き込むストレージを切り替えるなどして、手間のかからないシステムにする必要があると考えています。

 将来的な内視鏡AIの提供については、クラウドで読影をサポートする「gastroBASE screening」というサービスを推進しています。現在は臨床現場で一部使用していただいている段階です。ただし、今後の機能拡張に向けては、ネットワーク・インフラの整備やAIの搭載など、超えなければならない壁がいくつもあるため、容易ではありません。とにかく、一歩ずつ歩んでいきたいと考えています。

gastroBASE screening」の運用イメージ

-ITGマーケティングに対する評価、今後の展開をお聞かせください。

短期間にまとまった数を購入できる点は、何にも代えがたいメリットです。事務的な負荷の削減、価格交渉が可能という点では、コスト的な恩恵もあります。また、ITGマーケティングには蓄積されたノウハウとともに、我々ではキャッチアップが難しいストレージや映像のトレンドなどを随時、共有いただけると助かります。これからも、引き続きよろしくお願いいたします。

 


お客様プロフィール

  • 社名 :株式会社AIメディカルサービス

  • 設立 :2017年9

  • 所在地 : 〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目18-1  Hareza Tower 11F

  • 資本金 : 138億円(資本準備金含む)

  • 従業員 : 約90名(20239月現在)※役員・インターン含む

  • URL : https://www.ai-ms.com/


※記載されている会社名、製品名等は一般に各社の登録商標または商標です。
※事例に記載された社名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。
(2023年10月、202312月加筆)